SUPPING CULTURE REVIEW

批評同人誌『PENETRA(ペネトラ)』のメンバー。ジャンルフリー、ネタバレありです。https://penetra.stores.jp

MUSIC

スガシカオ(2016)『THE LAST』

単純接触効果というものをご存知だろうか。人は数多く見聞きする対象に好意や関心を抱きやすいという考え方のこと。最初は絶対にありえないと思っていた多部未華子が、いつの間にかやたら可愛く見えてくるという、例のアレだ。同様にテレビ番組のタイアップ…

星野源(2015)『YELLOW DANCER』

俺、すごいことに気づいちゃったかもしれない。「なに? どうしたの?」 星野源ってさ、たぶん2010年代の小沢健二なんだよ。「はあ」 今までミュージシャンとしての星野源を全然知らなくて。ほぼ唯一の接点が、木皿泉のドラマに出てたのを観たくらいだったん…

3776『3776を聴かない理由があるとすれば』

まったく知りませんでした、3776(みななろ)。こんなキテレツな音源がふつうにリリースされていたとは。日本レコード協会によると2014年に発売されたCDの新譜数は15,996点(すべて12cm、シングル・アルバムの合算)。ピークを過ぎたとはい…

「98年」から遠く離れて ねごと『VISION』が示す到達点

2015年がもうすぐ終わろうとしている。リアルタイムの音楽を追いかけるリスナーにとって、年末年始はひときわ慌ただしい季節だ。音楽誌やブログで年間ベストチャートの類が次々に発表されるからである。思わぬ拾い物に口もとがほころぶ一方、欲しいもの…

Rinbjo(2014)『戒厳令』

高校生の頃コンビニでアルバイトをしていた。650円という地域別最低賃金を10円刻みに丸めただけの時給と引き換えに、あたら青春を安売りしてしまった感は否めない。が、当時その判断に迷いはなかった。バイト代でとにかくCDを買いたかったのである。1…

The Mirraz(2014)『OPPORTUNITY』

ザ・ミイラズのメジャー2枚目となるアルバム『OPPORTUNITY』が昨年10月にリリースされた。彼らは2006年に結成されたロックバンドである。メンバーの加入と脱退が複数回あったものの、全楽曲の作詞・作曲・編曲を一手に引き受ける畠山承平(Vo, G)が絶対的…

ジュリアンのファルセットと突き抜けた明るさが新鮮な一枚 ―The Strokes(2013)『Comedown Machine』

ザ・ストロークスは今やほとんど見かけなくなった「物語」のあるバンド。とはいえその内実は聞こえの良いサクセス・ストーリーばかりではない。デビュー作の『IS THIS IT』(01)は2000年代前半のロックンロール・リバイバル・ムーブメントを代表する歴…