SUPPING CULTURE REVIEW

批評同人誌『PENETRA(ペネトラ)』のメンバー。ジャンルフリー、ネタバレありです。https://penetra.stores.jp

2012-01-01から1年間の記事一覧

オラシオ・カステジャーノス・モヤ(2004)『無分別』

執筆後、とある方にご講評をいただきました。文字どおりのフルボッコ。記事ごと削除したいくらいですが、自戒のために残します。ご指摘の箇所を赤文字・コメントを紫文字で表記。思いだすだけで赤面。 無分別 (エクス・リブリス)作者: オラシオ・カステジャ…

存在しない「桐島」と偏在する「椎名」 ―マッチポンプ式物語批判を脱臼させる『ここは退屈』のクールネス

今年の夏は例年にもまして周囲で映画の話題が聞かれたように思う。クリストファー・ノーランによるバットマン三部作の完結編や「日本よ、これが映画だ。」なるコピーが作品以上に浸透した『アベンジャーズ』。そこへスパイダーマンも加わってアメコミ原作モ…

大江健三郎(1967)『万延元年のフットボール』

『万延元年のフットボール』は、歴史に連なる大きなスケールの物語と、見ていて気の毒になるようなスケールの小さい登場人物たちが同居する、不思議な遠近感を持ったテクストである。根所蜜三郎は行き詰まっていた。息子は障害児として生まれ、妻とは始終ぎ…