SUPPING CULTURE REVIEW

批評同人誌『PENETRA(ペネトラ)』のメンバー。ジャンルフリー、ネタバレありです。https://penetra.stores.jp

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ロロ(2015)『いつだって窓際であたしたち』@STスポット横浜

ロロは今回、新たに「いつ高シリーズ」をスタートさせた。舞台となる〝いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三高等学校〟の名称は、小沢健二の楽曲にあやかったものである。高校演劇のフォーマットに即して作られていることがシリーズの特徴だ。…

岩松了作・サンプル(2015)『蒲団と達磨』

岩松了による岸田賞受賞作。上演は実に二十七年ぶりだという。不明を恥じなくてはならないが、今回の舞台を観るまで、私は岩松氏のことをまったく知らなかった。事前に予習しておこうと思いネットで検索をかけると、岩松氏と、演出を手がけた松井周氏の対談…

「役者」という矛盾したできごと ―映画美学校アクターズ・コース修了公演(2014)『美学』

『美学』の舞台はプロの漫画家を目指すための専門学校。この公演は映画美学校アクターズ・コースに通う生徒たちによるものであり、並行性はスタート地点から明らかだ。公演中、彼らは修了創作に取り組むことになる。それは漫画コンクールに応募する作品の制…

宮沢章夫(2013)『夏の終わりの妹』

いったいなぜこんなものを作ろうと思ったのか。アートにしてもエンタメにしても、そうした問いに駆られることは少なくない。そうした疑問はいくつかの水準に分かれているようだ。ひとつには、そもそもの創作の発端を問うもの。作家にはどんな動機があったの…

【メンバー募集】私たちと一緒に革命を起こしませんか? ―映画美学校アクターズ・コース修了公演(2013)『革命日記』

大学に入学したてのころ、文字どおり「右」も「左」もわからなかった私は、とある勉強会に出入りしていた。いまになって振り返れば、あれは学生運動の組織だったのだとわかる。当時は自衛隊のイラク派遣や格差社会がことごとく非難されていた。そういった主…

『あ、ストレンジャー』がいざなう解釈のワンダーランド

◆しっぽを失くしたウロボロスマームとジプシーによる公演『あ、ストレンジャー』を吉祥寺シアターで観た。タイトルの「あ」とは、ふいに誰かがストレンジャー=よそ者=異邦人として立ち現われてくるときの驚きを示した感嘆詞「あ!」なのだろうか。それとも…